Step1初診カウンセリングにて金属アレルギーに関して確認させていただきます。
初診カウンセリングで、以下の内容を確認致します。
- 金属アレルギーの有無 (※1)
- 金属の種類 (※2)
- 金属アレルギーの重症度(軽度・中程度・重度)
※1 精密検査に入る前にあらかじめ金属の種類を確認してもらうために、皮膚科や内科へ金属アレルギーのパッチテストの依頼を出させていただく場合があります。
※2 アレルギーが出る金属の種類は各々異なるので、わかる範囲で初診カウンセリングの際に確認させていただきます。もし、金属の種類がわからない場合には、矯正治療で扱う金属に関してのパッチテストの依頼状を書かせていただきます。主に矯正治療で、金属アレルギーによく反応する金属では、Pd(パラジウム)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)などがあります。またこの他に症状が強い方ですと18Kにも反応してしまうことがありますので、慎重な診査が必要になります。
Step2金属アレルギーの矯正治療
まず第一選択は金属をほぼ使わないマウスピース型矯正装置(インビザライン)になります。
このマウスピース型矯正装置(インビザライン)は毎日20時間使用し、2週間毎にマウスピースを新しいものに変えていき、歯並びを治していく治療になります。とても画期的な治療法にはなりますが、すべてのケースに使えるわけではないので、慎重な矯正診断後に適応ケースであれば、マウスピース型矯正装置(インビザライン)でやるのがベストでしょう。またマウスピース型矯正装置(インビザライン)の適応外のケースや、マウスピースが20時間以上使用できない場合には、第二選択として、ワイヤー矯正があります。このワイヤー矯正は通常のワイヤー矯正とは、材料が異なります。金属アレルギーの症状がでない金属のみに限定した装置で治療を行なっていきます。
装置の組み合わせの一例としては以下のようになります。
☑セラミックブラケット
セラミックブラケットのイメージ
(ワイヤーはホワイトコーティングされた
ワイヤーです)
陶器と同じセラミックで作られているので、金属アレルギーにはなりません。ワイヤーを通す部分がワイヤーのスロットが入っているセラミックブラケットもありますが、当院ではオールセラミックのもので治療しておりますので、アレルギー反応はでることはありません。
【当院使用のセラミックブラケット】
商品名:クリスタライン8(トミー)
☑チタンブラケット
セラミックブラケットは前歯がほとんどですので、奥歯に関しては、チタンブラケットを使用させてもらっております。チタンは、不動態膜という膜を表面に形成するために、金属が溶け出すのを防いでいます。そのため金属アレルギーには有用です。チタンブラケットには注意点があります。まずチタンは、加工が難しくブラケット自体が通常のブラケットよりも少し大きくなってしまうこと。チタンブラケットは材料が高価なために追加で費用がかかってしまいます。
【当院使用の純チタンブラケット】
純チタンブラケット(オーソデントラム)
☑ワイヤー
ニッケル、コバルト、クロムが入っていない金属アレルギーに対応するワイヤーがあります。
これは、上記に上げた金属以外を使用して作製されたワイヤーでアレルギー反応が起こりにくいと言われております。材料の特徴として、しなやかなワイヤーが多くなるために、歯や歯を支える骨にはダメージが少ない矯正治療を行うことができます。またワイヤーによってはホワイトコーティングやロジウムコーティングがなされており、目立ちにくいワイヤーも数は少ないものの存在します。デメリットとしては、ニッケル、クロム、コバルト以外に金属アレルギーがある場合には注意をしないと、これらのワイヤーでも金属アレルギーを起こしてしまいます。そのために最初の初診カウンセリングの状況確認は非常に大事なものになります。
【当院使用の金属アレルギー対応ワイヤー】
- TMAワイヤー(JMオルソ、オームコ)
- ゴムメタル(JMオルソ)
☑結紮線
ワイヤーとブラケットを結ぶ結紮線にも注意を払う必要があります。これらはステンレス合金なので、金属アレルギーの対象になる金属が入っております。この結紮線に関しては金属アレルギー対応のものは、現時点では発売されておりません。そのために結紮線を使わない治療計画の立案が必要になります。結紮線を使用しなくても、Oリングやクイックというゴムのリングである程度の代わりはできます。
☑リテーナー
金属アレルギーの場合のリテーナーは、基本はクリアリテーナーになると思います。クリアリテーナーは、いわゆるマウスピース型のものになり、金属を含みません。大概はこのリテーナーで保定治療をすることはできますが、抜歯ケースでスペースが開いてきやすいケースは、クリアリテーナーに上下の前歯に裏側からワイヤーを固定するフィックスリテーナーをクリアリテーナーと併用して使うことが必要になる場合があります。裏側に付けるフィックスリテーナーのワイヤーに関しても、上記のTMAワイヤーやゴムメタルを使用致します。