『MFTとは?効果は本当にあるのか?』
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『MFTとは?効果は本当にあるのか?』
記事作成および編集:I(矯正専門衛生士)
記事監修:日本矯正歯科学会認定医 渡邉 博人
MFTってなに?
MFTとは口腔筋機能療法(Oral Myofunctional Therapy)のことで、舌や口周りの筋肉のバランスを整えて口の中をよりよい環境にするための訓練のことです。
矯正歯科においてMFTは重要な役割を担っています。正しい咀嚼・嚥下ができていなかったり、安静時の舌・口唇の姿勢が正常な位置になっていないと歯並びが悪くなってしまう場合があります。MFTはお子さんにとても有効ですが、大人の方でも有効だと私は考えています。
今回は歯並びが悪くなる原因からMFTの効果は本当にあるのかまで、私の経験も踏まえてお話ししたいと思います。
【目次:もくじ】
①歯並びが悪くなる原因とは?
まずは歯並びが悪くなる原因についてお話していきたいと思います。
歯並びが悪くなる原因として大きく分けると2種類あります。
〈先天的原因〉出生前に原因があるもの
(1)遺伝
ご両親の顎や歯自体の大きさによって歯並びが悪いとお子様にも影響が出てくる場合があります。
(2)先天異常
口唇裂や口蓋裂などの先天異常がある場合、歯並びが悪くなることがあります。
(3)歯の本数の異常
過剰歯(通常の歯の本数よりも多く形成された歯)や欠如歯(本来あるべきだが形成されなかった歯)によって、歯並びがガタガタになったり、歯と歯の隙間が開いてきたりします。
(4)歯の形の異常
巨大歯(通常の歯よりも大きな歯)や矮小歯(わいしょうし、通常の歯よりも小さな歯)があると歯並びがガタガタしたり、歯と歯の間に隙間ができたりします。
〈後天的原因〉出生後に原因があること→MFTで改善可能!
(1)口周りの筋肉の発育異常
現代の子供たちは柔らかいものを好んで食べたり、生活環境により噛む回数が減少したため、噛むために必要な筋肉が衰えて、噛むことや飲み込むこと、発音、呼吸など口の中の機能異常(障害)に影響を与えている傾向にあるようです。柔らかいものばかり食べたり、噛む回数が減ると本来子供たちが通常の日常生活の中で得ていた通常の口の中の機能が「正常に育たない」「機能しない」状態に繋がります。つまり筋肉は使わなければ機能が育たない、そして筋肉が衰えるという現象が口の中にも現実問題として起きているのです。
大人の方においては、運動不足により肥満になり体の機能が衰えるように、舌や口の周りの筋肉も十分に使えなければ口の中の機能は衰えていくのです。
(2)口腔習癖
母指吸引癖(指しゃぶり)
乳児期(生後直後~1歳、1歳半ごろ)の指しゃぶりは生理的なものであるが、
幼児期(1歳前後~就学前までの5、6歳)における心身の発育に伴い、
3~4歳ころには自然にやらなくなります。
しかし、その時期を過ぎても指しゃぶりをしていると、
頻度や時間、強度によって上下のかみ合わせが開いてきたり(開咬)します。
舌突出癖
上下の前歯の間に舌を突き出す癖のことです。
これも指しゃぶりと同じく上と下のかみ合わせが開いてきたり(開咬)します。
吸唇癖
口唇を吸う癖のことです。
多くは下唇を吸うものであり、上の前歯が前に出てきたり、
逆に下の前歯が舌側に倒れたり、上下のかみ合わせが開いてきたり(開咬)します。
口呼吸
アレルギー性鼻炎などの鼻疾患があると鼻呼吸が難しくなり、
口で呼吸するようになります。
そうすると、口を開け、舌が下にあるまま口で呼吸するため、
口周りの筋肉と舌からの力のバランスが変化してきます。
下の顎が下へ誘導されるので上下のかみ合わせが開いてきたり、
出っ歯(上顎前突)になってしまったりします。
②MFTの種類
歯並びは、舌や口唇、頬などの口周りの筋肉から絶えず圧力を受けています。食べ物を噛んだ時や飲み込んだ時、話す時および安静にしている時における口周りの筋肉の機能に問題がある場合、筋肉のバランスが崩れ、歯並びが悪くなったり、矯正治療の後戻りなど様々な問題が生じます。MFTによる口周りの筋肉の機能改善は、歯並びの正常な形態を維持するための環境を整えることにあり、筋肉の圧力のアンバランスに起因する問題を解決していきます。
MFTの訓練の種類は主に3種類に分けられます。
個々の筋肉の訓練
(1)口唇の訓練
口唇を伸ばす訓練、口唇力の強化訓練、口唇の柔軟性を養う訓練などがあります。
(2)舌の訓練
舌の先端部分(舌尖部)、舌の中央部分、舌の側面部分および舌の付け根(舌根部)の強化訓練、
舌を上にあげる力や運動性を高める訓練などがあります。
咀嚼・嚥下の訓練
しっかりと大臼歯部で噛んで正しく食べる訓練や
口唇を開けたまま舌の力だけで飲み込む訓練などがあります。
口唇と舌の姿勢位の訓練
口唇と舌の正しい位置を覚える訓練などがあります。
正しい口唇と舌の姿勢位が獲得しにくい場合には、
咀嚼・嚥下・発音いずれかにまだ問題が残っていることが多いです。
③矯正治療におけるMFT
矯正治療では、開咬などの不正咬合に関連する口腔習癖に対してMFTを指導していきます。
治療開始時または終了後にMFTを導入し、矯正装置と併用しながら歯並びを治すあるいはきれいになった歯並びが元の状態に向かって動いてこないように安定させるようにしていきます。
矯正治療で主に指導するMFTを2つご紹介します。
〈スポットポジション〉
上の前歯のやや後ろで歯茎が少し盛り上がっているところを”スポット”と言います。
リラックスしている時や飲み込む時に舌の先端をこのスポットに付けておくことで、
舌を上に上げる習慣付けができ、下の歯を舌で押して下あごが前に出てしまったり(下顎前突)、
舌を前に出して上下の咬み合わせが開いてしまう(開咬)ことがなくなります。
方法として、鏡を見ながらスポットにスティックや割り箸と舌の先端を交互に付けて、
その場所の感覚を視覚と触覚で覚えていきます。
自分で行うのが難しい場合は親御さんがやってあげてください。
これを1日10回程繰り返します。
〈ポッピング〉
舌全体を上あごに吸いつけ、口を大きく開け、
舌の下のヒモ(舌小帯)を十分に伸ばしてから、「ポンッ」と舌打ちの音を立てる訓練です。
この訓練は舌全体を上あごへ上げる力を養うのに役立ちます。
方法として、舌を上あごに吸いつけながらお口をゆっくり開けます。
そのまま舌の下のヒモ(舌小帯)がしっかり伸びている状態で3秒数えてから、
舌を一気に引き離し「ポンッ」と音を立てます。
これを1日10回程度繰り返します。
④体験談
私は高校2年生〜高校卒業まで矯正治療を経験しました。
元々私は父親からの遺伝で下あごが出ていました(下顎前突)。幼少から自分の顔貌にコンプレックスがあり、高校生の時に母の知り合いの歯科技工士さんの紹介で歯科矯正と顎変形症の手術を経験しました。
2年間矯正治療と手術を経験し、保定治療に入ったのですが、1~2ヶ月経ったころの診察時に「少し下あごが前に出て戻ってきてるので、舌のトレーニングをしようか。」と担当の先生に言われました。
そこで初めてMFT(スポットポジション、ポッピング)の指導を受けました。1ヶ月程MFTを続けたところ、矯正治療終了時の正常な咬み合わせに戻りました。
MFTは発育時の小児に大変有効ですが、成長が止まった大人でも効果がある可能性を身をもって感じました。
矯正してよかったと心から感じています!
★まとめ★
今回は歯並びが悪くなる原因やMFTの種類、効果について説明しました。
MFTは成長期のお子さんにとても有効で、後天的原因に矯正治療と並行して行うと治療期間が長引かずに終了する可能性が高いです。
大人でも特に矯正治療の後戻りに有効であることが実体験で分かりました。
MFTでお口の周りの筋肉を整えて、きれいな歯並びを目指していきましょう!
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