『矯正治療のしくみ、遠心移動とは?』
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『矯正治療のしくみ、遠心移動とは?』
記事制作と記事編集:歯並びコーディネーター N
監修:渡邉 博人 (町田駅前矯正歯科医院長)
歯科矯正は、装置を用いて歯に負荷を与えることで歯を動かし、理想的な歯列に並べなおす治療になります。
いろんな装置がありますが、それぞれ歯に対して可能な動き、得意・不得意な動きがあります。
今回は一般的な治療方法であるワイヤー矯正と、マウスピース矯正であるインビザラインでご説明していきたいと思います。
【目次:もくじ】
②矯正装置の得意・不得意
・ワイヤー矯正
・マウスピース矯正(インビザライン)
歯と歯を支える骨は、直接くっついているわけではなく、実際には歯のまわりに歯根膜という薄い膜があります。
歯根膜は食べ物を噛むときなどに、歯にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割をします。
通常は厚さ1mmもないですが、この膜には一定の厚さを保とうとする性質があり、この性質を用いて歯科矯正治療を行なっていきます。
歯に矯正装置をつけることによって歯へ負荷をかけると、その刺激が歯根膜にも伝わります。
そうすると、歯を動かしたい方向の歯根膜は細くなり、その反対側は逆に引かれる力で歯根膜が引きのばされます。
一定の厚さを保とうとする性質がここで働きます。
細くなった歯根膜は、元の厚さに戻ろうとして骨を溶かす細胞が働き、のびた歯根膜は引きのばされた分薄くしようと骨を作り出す細胞が働きます。
破骨細胞:骨を溶かす細胞
骨芽細胞:骨をつくる細胞
このように、骨を溶かす・作り出すを繰り返すことで矯正を行なっていきます。
だいたい1ヶ月で1mmほど動きますが、無理をして強い力をかけたりすると歯肉退縮や歯根吸収などのリスクが高くなります。
乳歯から永久歯と生え変わるタイミングがありますが、みんながまっすぐ生えているわけではありません。
顎の大きさなどの骨格や、癖などによって歯の生え方にも個人差があります。
矯正治療によって歯を動かす際に、可能な動きがあります。
・水平移動(歯体移動)
・歯ぐきから引っ張り出す(挺出)
・歯ぐきに沈み込ませる(圧下)
・回転(捻転)
・起こす(傾斜移動)
・歯根を動かす(トルキング)
これらの動きを使って歯を動かしています。
症例によっては治療に向いている装置、向いていない装置があります。
●歯の平行移動が得意
●抜歯が必要な方、重度の出っ歯傾向の方など前歯を大きく移動させる治療も得意
●基本的にどんな症例にも対応できる治療法
●前歯が噛んでいない開咬という症例が少し苦手
●傾斜移動が得意
●人の歯は手前に倒れて生えることが多いため傾いた歯を起こして歯列を整えることができる
●平行移動も出来るが、マウスピースを用いるので多くの歯に一定の負荷をかけられるので顎のスペースを広げる動きが得意
●開咬や軽度の出っ歯傾向の方・軽度の叢生の方も対応できる
●移動距離が長い症例だと途中で傾斜してしまうおそれがある
●自身でマウスピースの付けはずしが難しい方だと管理が難しく虫歯になる可能性がある
ワイヤー矯正、マウスピース矯正に限らず、矯正治療に注意が必要な方もいらっしゃいます。
例)重度の歯周病の方、インプラントなどが入っている方など
遠心移動とは、歯を後ろに移動させる動かし方のことを言います。
主に歯を並べるスペースがない時に行なわれる治療法で、難易度の高い治療法と言われています。
IPR(ディスキングとも呼ばれ、歯の側面をやすりで削ってすき間をつくる方法)や側方拡大、抜歯などの選択肢があるなかで、歯を並べるスペースがどのくらい必要かによって、遠心移動が必要かどうか判断します。
・叢生:顎が小さいと起こりやすい、凸凹したり重なっている歯列
・上顎前突:上の前歯が前方に出てしまった歯列、出っ歯の方
・下顎前突:噛み合わせが上下反対になっている歯列、受け口の方
遠心移動をするためには後方に下げるためのスペースが必要になるため親知らずが生えている方は抜歯する必要がありますが、インビザライン矯正を選択することで抜歯をすることなく歯列矯正を行なうことができる症例があります。
しかし、難点として複数の歯をまとめて移動が難しく、1本ずつの移動させる必要があるため治療完了までには長期間かかることが多いです。
また、スペースを多く必要とする重度の叢生や出っ歯の方はインビザラインでの対応が難しく、抜歯してワイヤー矯正になるケースもあります。
ワイヤー矯正の単体での遠心移動は不得意です。
例えば、口蓋(上顎の真ん中)部にアンカースクリューと呼ばれるネジを埋め込んで、それを用いて治療したり、コイルを入れて後方に押す力を加えたり、他の装置と組み合わせる必要があります。
それでも、歯にかける力は反作用があり余計な動きをしてしまうことがあるくらい難しいのです。
遠心移動は、骨が確実にあるところに行なう治療ですが、精密検査の時点で事前にレントゲンやCTの写真を撮影し、分析・判断することが可能ですので、治療開始前に準備が必要です。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正でそれぞれ得意な動きと不得意なうごきがあります。
患者様によって、歯列が異なるので治療法も治療方針も変わります。
治療開始前の精密検査ではお一人お一人の分析をしっかり行っております。
また、動き方には個人差があるので決められた期間でのコンスタントな来院が大切です。
気になることがありましたら、お気軽に担当医にご相談ください。
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